#30 ジュニアと未来のゴルフについて

ジュニア

2025年マスターズ。念願だったロリーマキロイの生涯グランドスラムという劇的な優勝で幕を下ろしました。しかし、この優勝はとても過酷で辛い優勝だったと思います。しかし、この辛さを乗り越えたマキロイは更なる活躍を期待できるでしょう。そして、この優勝から新たな時代のゴルファーが誕生するきっかけになるような気もします。
さて今回はこの辛い時期を乗り越えたマキロイのように、どうすればこんなに活躍し夢を与えられる存在になるのかを考えていきたいと思います。

憧れの存在と夢

子供の頃はヒーローに憧れるものです。私も少なからず憧れた一人です。
ゴルフ界では、ジーンサラゼン、ベンホーガン、ゲーリープレーヤー、ジャックニクラウス、タイガー、マキロイと脈々とこの系譜を受け継いできました。目標となれる人物がいれるからこそ、がんばれたり真似をしたりできるのだと思います。

我々ゴルフのプロはこの事を自覚し、ゴルファーの憧れ(大きく言えばです)になれる存在にならなければならないと思っています。
では、この世界を受け継いでいく子供達、ジュニアゴルファーにどのように伝えていくべきなのか。
やはりゴルフは「辛い」ではなく「楽しい」出ないといけないと思います。しかし、実際は辛いことの方が圧倒的に多いのが現実です。私はよく言ってるのは「ゴルフは簡単じゃない」。しかし、なんでここまでゴルフが楽しめているのか。それはゴルフは「楽しい」ものだと考えているからです。
この「楽しさ」というのは子供の頃からの教育にあると思っています。

リグナスジュニア

私がとても憧れているジュニアアカデミーがあります。
スウェーデンにあるリグナスゴルフ&ホテルにあるアカデミーです。

このアカデミーは世界アマ1位や多くのチャンピオン実力者を輩出してきました。
そのため、バリバリのゴルフレッスンを行なっているのか興味がありました。ご縁もあり見学に行かせていただきました。

そこで行われていたのは、子供の頃からゴルフは「楽しい」ものだという教育でした。
リグナスのアカデミーは3歳から参加でき、子供の頃からゴルフを身近に体験できる環境です。そして、子供ながらにゴルフコースを「遊び場」という認識をさせて楽しさを感じ取れるレッスンでした。

この楽しさは子供達の「集中力」につながっていました。小学生低学年のクラスを見学した時も、友達と無駄話せずにゴルフの練習に取り組んで、高校生になるとこの集中力はとんでもないぐらいのレベルになり、プロに引けを取らないレベルになっていると思います。
しかしこの「集中力」はコーチから伝えられるものではなく、自主的な集中力でした。
楽しいから集中できる。これはジュニアに楽しさを伝えるコーチまた親や取り巻く環境作りがとても重要になると思います。

楽しいから「集中」できる。みんながいるから「辛い」も乗り越えられる。
この素晴らしい環境を我々プロは作らなければならないと考えさせられた瞬間でした。

私たちの取り組み

2025年私はottocittaキッズというジュニアリーグを闘うチームを結成しました。
ここでみんなと取り組んでいくのは、ゴルフは楽しいもの、レベルの違いはあるけどみんなで戦っていくことの重要性を伝えていきたいと思っています。
大事なことは成績は重要なことではなく挑戦することが大事。そして、失敗してもいい。また、挑戦できる環境を作ること。
この経験はジュニア期にしかできないことだと思っています。
スコアが悪かったら怒られる。そんな環境では子供達のその後に繋がりません。ゴルフでも私生活にも影響が出ます。我々のチームは挑戦する大切さ。みんなで困難を乗り越える大切さを強調し、取り組んでいくことをご両親にもお伝えしています。
先日のジュニアミーティングでは皆さんにお伝えでき、ご共感いただけたと思います。

未来を作る子供達のために

私たちができることが、未来を作る子供達のために道を作ることではなく、自分で道を作り進んでいけるように土台を作ることだと思います。
小鳥が巣立つように、餌を与えられて育つのではなく、高いところにある巣から飛び立たせて自分で生きていけるようにすることが親の務めだと思うのです。
正解を与えるのではなく、考え方や本質を理解させることが大切です。

私の世代では多くの上手なプレーヤーが失速していくのを目にしてきました。
そこには成果主義となる教育があり、試合の後、成績が出なかった選手に対して親からの励ましという名の叱りがありました。そしてその選手は引退後姿を消していきました。
こんな世界は今後見たくありませんし、子供達の未来に大きな影響を与えます。
現在、ゴルフに限らずスポーツの世界ではジュニアチャンピオンは日本人がとても多くいます。しかし、18歳ごろになるといきなり日本人が世界をとることがなくなります。早期成熟と言われる事に日本は取り組みすぎているとわかりますし、私が初めて見たジュニアたちも多くは「ゴルフ」を覚えており、「スポーツとしてのゴルフ」は知らないことが多いです。

私はスポーツとしてのゴルフをジュニア期に経験し積ませることが重要だと考えています。
なので、ジュニア期の成績はあくまでおまけ。子供達自身が身体の使い方を覚え、そして、自分で考え感じられることを教育することが重要だと考え、レッスンをしています。
プロとして、ゴルフでお金を稼ぐことが生業です。しかし、本質はゴルフの世界は楽しくて生活も豊かにしてくれることを伝えること。です。フェイクニュースでバズらせたり、他人を罵ったりして金を稼ぐのはプロとしてはあり得ないこと。なので、生涯学び続けることがプロとしての使命でもあります。

子供達の未来のために。我々プロが導いていけるように取り組んでいかなければなりません。

さて次回は中距離のショートゲームについて。データを見ながらどのようなことをすればうまくいくのか。解説していきます。

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