ゴルフにおいて飛距離アップは、プレイヤー全員の課題です。なかなか飛距離は伸びないし、歳を重ねるとより飛距離を伸ばすことは難しくなってきます。
しかし、トレーニング次第で飛距離は伸ばせるし、維持することは可能です。私とのセッションで70歳を超えても飛距離を伸ばしてゴルフを楽しんでいらっしゃる方はいます!飛距離アップに取り組むなら今すぐ取り組むべき!勝手に飛距離が伸びることなんてありません!
ヘッドスピードを伸ばすためには、まず最大のヘッドスピードを上げること!そのためにはうまくクラブを振るということ。そして、うまく振ったスイングスピードの限界値を引き上げていくことが重要です。
うまくクラブを振るということは、スイングを効率化させると似たような表現ですが少し違います。すごく単純にクラブを振るということを上手くなるということです。
そしてスイングスピードの限界値を引き上げるためには、いかに脳と筋がスピードを発揮できる状態になっているかがとても大切です。
今回は、ヘッドスピードアップにおいてmaxのスピードの限界値をいかに突破していくかを考えてみましょう!
スイングを効率化すれば飛距離が伸びるはウソ!
心を折るようなことを言います。スイングがいくら効率化されたからといって飛距離が伸びることはありません。例えばヘッドスピードが40m/sが最高速度だとします。かなりスイングが効率化できて、クラブもスイングに対してベストな選択ができてもせいぜい230ydぐらいが最大値だと思います。ボール初速に大きく影響を与えるヘッドスピードがそもそも遅いと飛距離は伸びません。
最大のヘッドスピードが45m/sあってアベレージが40m/sだとすると、アベレージを45m/sにもっていくことができるのでスイングの効率化ができれば飛距離は伸びる可能性はあります。なんにせよmaxのヘッドスピードを伸ばすこと。これが飛距離アップの優先事項なのです。
筋トレすれば飛距離が伸びる。も間違い!
飛距離アップのために筋トレに励む。あながち間違ってはないのですが、筋力がある=飛ぶは間違いです。もちろん筋力はあったほうが有利です。しかし、ヘッドスピードを上げるには純粋な筋出力ではなく、筋力の立ち上がり速度を上昇させることが重要だと私は考えてます。
筋力の立ち上がり速度(以降はRFDとします)は、筋力が最大の力を発揮するまでの時間を表します。イメージとしては、自転車に乗ったときを思い出してみましょう。自転車の漕ぎ出しはペダルをしっかり踏み込み、ゆっくり進み出します。そして、ペダルが軽くなり速度が出て身体が安定して前に進んでいきます。
この最初のペダルを踏み込みスピードに乗るまでがRFDというわけです。ゴルフスイングは平均1.5秒と言われています。この短い時間の中で最大速のスピードを出さなければならないので、このRFDは重要ではないか。と考えているのです。
しかし、筋力トレーニングには、怪我の予防に貢献します。ヘッドスピードが速いのに身体が細い状態だと、そのヘッドスピードの遠心力(ヘッドスピード)をコントロールするための求心力を発生させなければなりません。スイングのセンターがブレてしまい、スイングのコントロールが難しくなったり、また、身体に無理な体勢のスイングをすることで身体に負担をかけることになり怪我につながる可能性もあります。
ゴルフのみならず、全てに置いてまずは怪我をしないことが大前提です。ですので、トレーニングを行う際はまず、身体の正しいポジションを理解すること。それから、基礎的なトレーニングを行なってから専門的なトレーニングを行うことが重要です。
クラブをうまく振る!!
すごく単純なのですが、これができていないプレーヤーの方は多くいらっしゃいます。これはゴルフ特有の問題で、小さい地面に置いてあるボールを手から遠く離れたクラブヘッドで打つ。しかも、フェースは平面で丸いボールを打つので真っ直ぐ当てたい心が働いでしまいます。そのため、振ることが主体ではなく、当てることが主体になってしまいうまくクラブを振るとう言うことができなくなってしまうのです。
かくいう私自身もクラブを振るという行為はとても苦手です。この問題には、ゴルフの始め方がとても重要になってくると私は考えてます。
ゴルフを始めていちばん最初に何を行うのか。よくありがちなのが時計の文字盤でいう9時3時のハーフスイングでボールをポーンと当てて練習するワンレバースイング。当てることでゴルフを始めたプレーヤーの皆さんはとても満足すると思います。しかし、この当てて満足スイングがのちに大問題を引き起こします。
この9−3スイングにスイングする(振る)という要素は弱く、ここからスイングを発展させていく際に、スイングスピードを上げていくと当たらないという現象が起きてきます。これを理解するには、ジェイコブス3Dなどで語られているゴルフクラブ力学を理解する必要があるのでこちらは割愛します。
当たらない→振らない→飛ばない→楽しくない。という負の連鎖が発生するので、最悪だとゴルフをやめてしまうというケースも発生してしまいます。コーチがいれば巧みな話術でこの心理をコントロールできるかもしれませんが、脱却することは難しいでしょう。
ですので、私のレッスンではまず振るということにフォーカスを当てて、当たらなくてもいいんだよと理解をしてもらいます。しかし、前回の100切りでもお話した通り、センターバランスを用いてスイングできるとほぼインパクトできます。
なので仕組みとして、振る→ちょいちょい当たる→振る→当たってくる→思いっきり振る→インパクトできれば気持ちよく飛んでいく→楽しい→もっとやりたい
と、良い連鎖を引き起こしやすくなってきます。では、当てることを前提にスイングを作り上げてきた我々はこの仕組みからいかに脱却するのか。私が尊敬するアメリカ在住のコーチ宮崎タイキプロにお願いして日本に持ってきたシステムを紹介しましょう。
MACH3 SPEEDTARINING
このマック3スピードトレーニングはアメリカ発のヘッドスピードアップシステムです。
このMach3トレーニングでは様々な練習グッズを使用してヘッドスピードアップのトレーニングを行います。代表的なのはロープトレーニング。特に高重量のマンバは身体に最適な負荷をかけることができ、体幹のトレーニングには最適です。
私がマンバで9−3スイングを行なっている様子です。かなり高重量なのでスイングスピードは70%程度で行い、ロープをしなやかに動かすことで体の連続性、連動性、体幹強化を狙っています。
そして、振るを上手くなるためのツールがジェットスティックという先がチェーンになったグッズです。
このジェットスティックは先がチェーンとボールがついています。このジェットスティックをスイングすると自然に先端か動き、勝手に遠心力を作り出します。そのため、当てる前提のスイングが難しくなり、振る前提のスイングを形成することができます。
クラブを初めて握った方にもこのジェットスティックを振った後に、実際のクラブを握ってスイングしてもらうと、驚くほど当てるスイングではなく、振るスイングを形成できることができます。
クラブを振るを上手くなるためには、振るを覚えなければなりません。そのためにはクラブを振るスイングに変える必要があります。ゴルフクラブも先端が重たい形状の物体ですが、しなりや遠心力を感じることはとても難しいです。そこでこのようなグッズを使用し、しなりや遠心力を感じることはとても有益だと思います。
しかし、一度当てるスイングを覚えてしまうと、振るスイングを覚えるのはMach3グッズを使っても困難です。しかし、継続してスイングすることで改善はできます。継続こそ重要です。
脳のミエリン化を促し、過去のスイングをアップデートする
では、ここから脳の仕組みについて少し触れていきます。
いきなりですが、過去に経験した運動って久しぶりに行ってもなんとなくできる。って体験ありませんか?
久しぶりに自転車に乗ってもなんとなく乗れてしまう。久しぶりのスキーもなんとなく滑れてしまう。最初は困難だった運動が、一度出来てしまえば時間が経った今でも出来てしまう。
これは脳が運動を忘れない証拠です。脳は運動の記憶は忘れません。ゴルフスイングにおいても癖がなかなか治らない。これも運動を忘れない脳の一種の働きによるものです。
では、忘れない運動をどうアップデートしていくのか。そこにはミエリン化と呼ばれる脳の働きを使って行います。ミエリン化を簡単に説明すると、脳が発信した信号(筋肉にこう動いてねっていう信号)が、筋肉に送られその動きを行う速度がミエリン化が促されるとよりスピーディーに行われます。
なので、今まで行ってきた運動Aを運動Bに変えたいとなった時、Aの信号速度よりBの信号速度を早くすることで、Aという運動を改善できるといった働きです。
いかにミエリン化を促すか。ここには継続しかありません。そしてやりたくない Aという運動を一度でも行ってしまうと、運動Bはより困難になるので Aを絶対に行わないように取り組むことが必須になります。我々コーチはこのミエリン化を促すために様々な練習グッズや、ドリルを提案します。全ては運動改善のためなのです。また今度この運動改善、運動学習についても書いていこうかと思います。
限界突破のプロセス
最大速を出すことが重要なのはわかったし、ミエリン化で運動が最適化されることも理解できたと思います。じゃ限界突破するにはどうすればいいか。
動きを司るのは脳です。なので、脳が私ってこんなスピードが出せるんだ!って思わせ慣れさせることが重要です。そこで、オーバースピードトレーニングを提案します。
オーバースピードトレーニングは、本来、自分自身が持っているスピードを上回るスピードを体験することで、自身のスピードを上げていく方法です。ゴルフにおいても、オーバースピードトレーニングはとても有効だと思います。
仕組みはシンプルで、ドライバー(飛距離アップの場合、ドライバーがほとんどですよね)より軽いクラブを全力で振り、ドライバーのヘッドスピードより速いスピードを身体に落とし込む。そこからドライバーに持ちかえ、ヘッドスピードが上がった状態でスイングすることで飛距離アップを促す。
このような仕組みです。私はこのトレーニングをMach3グッズを使用し行っています。現在、飛距離が最大70yd伸びた方もいらっしゃいます。平均すると中央値で15yd飛距離アップ出来ているのでとても有益なトレーニングだと思います。
Mach3グッズは怪我を予防しながら行うので、とても安全なグッズです。しかし、手元にない。欲しいけど…なんて思われている方は気軽な方法もあります。例えば、ヘッドから抜いたシャフトやアライメントスティック、よくある素振りのグッズでも有効です。しかし、怪我のリスクはあるので注意しながら行いましょう。
まずはウォームアップ。重めのクラブやグッズで身体をほぐし暖めます。そして練習開始。ドライバーでショットしましょう。Mach3の場合ここでヘッドスピードとボール初速を計測します。その後、自分に合ったスピードアップのトレーニングを行います。
Mach3グッズがない方は、重いクラブ等をフルスイング(6〜8スイング)した後、軽いクラブ等でフルスイング(6〜8スイング)行います。この時3スイング目以降は全力で100%→110%→120%というように自分の限界を越えるイメージをしながら全力で取り組みましょう。そして、疲れたらしっかり休んでください。
取り組み息も落ち着いてきら再度ドライバーのフルスイングしていきます。ここでも注意があります。飛距離アップのトレーニングをする際、ドライバーのショット数は総数で25球ほどでとどめてください。
これには理由があり、疲れてくるとその疲労に合わせたスイングスピードになってしまい、ヘッドスピードは逆に低下する要素になります。ですので、普段の仕事疲れなどから練習する場合、トレーニングだけ行い、ドライバーのフルスイングは避けるようにしてください。ミエリン化のお話でも理解できると思いますが、疲れたら疲れた速度のスイングを覚えてしまいます。
脳の組織は3ヶ月で更新されていきます。3ヶ月は続けてトレーニングする事でヘッドスピード改善やスイング改善が行えます。ヘッドスピードを諦めないで!楽してヘッドスピードは獲得できませんよ!
次回は、ゴルフスイングの目的についてお話していこうと思います!乞うご期待!!