#21トレイルアーム

アイアンショット

トレイルアームは右打ちの場合は右腕左打ちの場合は左腕のことを言います。
トレイルアームは添えるだけ、使わない。などいろんなことが言われています。
では、実際にはどのようにするべきなのか。解説していきます。

状況によって全く違う働きをする

トレイルアームですが、フルスイング、ショートゲーム、パッティング様々な状況によって使い方が変化します。使い方というと変な解釈が生まれるのでよくないのですが、主となる動きと捉えていただけるといいかと思います。

まず、フルスイングについてはリードアームが主になります。リードなので、右打ちなら左腕、左打ちなら右腕です。
しかし、主となるからと言ってトレイルアームを全く使わないということはありません。
ショートゲームでは逆転し、トレイルアームが主になります。
そしてパッティングでは、プレーヤーによって様々です。理想としては、5対5のようにどちらも拮抗させて使わないイメージが理想だと思います。しかし、トレイルアームのほうがイメージを出し易いプレーヤーもいれば、リードだけ使う感じで機械的にパッティングをしたいプレーヤーもいると思います。

今回はフルスイングとショートゲームにフォーカスを当てていきます。

何を持って使うと評価するのか

感覚論では、このブログは成り立たないので実際に計測されたデータを紹介します。
このデータはインスタグラム上に上がっているので、誰でも閲覧できます。
リアムマックウェルというアメリカで活躍するゴルフコーチがいます。そのコーチの研究です。
リアムはとんでもないぐらいのデータを研究し、選手たちにフィードバックを与えてきました。そのデータからアメリカメジャーリーグのアドバイザーとしても活躍されている異色のゴルフコーチです。

彼が発表したのは、スイング中のグリッププレッシャーの変化です。
グリッププレッシャーの変化から、ゴルファーはスイング中にどのようにクラブをコントロールしているのか。それが見えれば、目に見えないエネルギーを観察することができるので、プレーヤーがなぜエラーを起こすのかをより高度な解析、フィッティング、コーチングができます。

筆者とリアム

グリッププレッシャー

グリッププレッシャーはまだまだ研究段階で、どうなることが理想的なのか。ある程度も目星はついているようですが、まだ仮説段階みたいです。しかしわかっていることとしては、

  • フルスイングではリードアームが優勢。ショートゲームではトレイルアームが優勢
  • ドローヒッター、フェードヒッターでグリッププレッシャーは変化する
  • ハイハンデプレーヤーほどグリップを緩く握っている
  • グリップの太さはまだわからないことが多い

という感じです。実際の研究データを見てみましょう。

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カラフルな線は身体のキネマティックシークエンスの加速度曲線です。
緑の明るい線がトータルのグリッププレッシャー。
棒状の点線がリード側のグリッププレッシャー
丸の点線がトレイル側のグリッププレッシャーです。
グラフの下にどのスイングのフレーズなのかも確認できます。

こう見ると、リードサイドのグリッププレッシャーはインパクトに向けて緩やかに上昇していきます。
しかし、トレイルサイドには大きな波のような波形が現れています。

一番ピークになっているのが、リード、トレイル同じタイミングで、インパクト直前です。
そして大きな変化が起きているのはトップ〜切り返しのポイントです。

抜く抜かない問題

この波を見て思うことは、切り返しで力を抜くのか、抜かないのか問題です。
今までは感覚論的な物事が多かったのですが、このグラフを見るとグリッププレッシャーがかかっていない=力は抜く。のが正解のように見えます。
しかし、よく見るとトレイル側にもう一箇所プレッシャーが抜けている部分があります。
P3あたりです。

リードは増え続けているのに対して、トレイルはこのような波が見えてくる。
これはシャフトのしなり戻りだと私は考えています

以前にシャフトのしなりについて記した記事を投稿しました。

この記事を読まれた方は理解できると思うのですが、この波はシャフトのしなり戻りで発生したのではないでしょうか
そうなるとタイミングもドンピシャです。そして今まで言われてきたグリッププレッシャーについて結論も出せます。

そう「トレイルは何もしない。」ということです。

しかし、何もしない。をその言葉のままにとられると確実にミスります。なので、グリッププレッシャーの変化は起きない→何もしてない。という変換ができると理想ではないかと思っています。
なのでリアムのグラフを借りると、実測されるデータは波を打ちますが、リアルな感覚は下のように、変化が少ない曲線が理想的だと私は思っています
このような黄色の曲線だと、P5〜P6にかけてプレッシャーが急上昇してる理由もマッチすると思います。

ショートゲームはトレイルアームを活用する

では、ショートゲームです。

ショートゲームでは、トレイルアームは存分に活用するのが私はいいと思っています。
やはり、上記での記したように右手はシャフトのしなりに大きな影響を与えています。ヘッドスピードを落としてクラブヘッドをコントロールするためには、トレイルアームを有効的に使って全てをコントロール下におくほうがいいと思います。

私のショートアプローチセッションでは、ローハンディ、スクラッチクラスのショートゲームを獲得するためによくトレイルハンドのみの片手打ちをやっていただきます。
この片手打ちには、手の使い方はもちろん、身体の使い方まで学ぶことができます。

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誤解していただきたくないポイントとしては、トレイルアームの運動量はそれほど大きくないということです。
なので、片手打ちなのに身体側を積極的に使っている印象になるかもしれません。
しかし、このワンハンドスローでミスが少なくできるようになると、ショートゲームの技術は格段に向上します。

使い方は共通。外旋+回外+背屈で切り返す

ショートゲーム、フルスイングともにトレイルアームの運動は共通です。
特殊なショットの場合は変化があるかもしれませんが、あまり変化を起こさないほうが、その後のラウンドに響かないと思います。

まず理想的な使い方としては、トップで上腕は外旋、前腕は回外、手首は背屈が理想的です。
もちろん可動域に制限がある場合は他の動作やアドレスで対応します。

この後、肘の屈曲位が伸びて伸展すると同時に、前腕の回外に向かって回旋、手首の伸展から掌屈、その後、前腕の回外位に伴って上腕の内旋に至りリリースされていきます。

よくないパターンとしては、早期に上腕の内旋が始まり、手首の掌屈及び尺屈が早期に起き、インパクトではボールにエネルギーを伝えられず、またフォローでも肘は曲がったまま、いわいるチキンウィングという症状に行き着いてしまいます。

この状態になってしまうと、肩甲骨、三角筋や肘、手首に相当な負担が考えられ、怪我につながるリスクもあります。なので、けが予防のためにも理想的な身体の使い方をコーチは提案するべきでしょう。

肩甲骨が硬い

腕の外旋ができない方も大勢いらっしゃいます。
そうなると、トップはもちろんコンパクトになるべきだし、リード側の肘も曲げて負担を軽減しましょう。スタンスも狭く、大きくクローズスタンスをとることでスイングパスにも影響を及ぼさずにゴルフができます。

理想値は90度以上(背中側に倒れる)しかし、怪我などで肩甲骨が動かない場合はそのほかでカバーする

身体にあったスタンス、スイングをするべきです。なので、あなたにとってのスクエアを見つけ、トレイルアームも有効に使っていきましょう!

次回は、ゴルフに重要な傾斜の打ち方について!

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